本記事でわかること
本記事の信頼性
Instagram: mirunote(@mirunote_official)
mirunoteチューターの代表として、30名以上の医学部留学をサポートしてきました。イタリア医学部、チェコ医学部、スロバキア医学部の合格実績あり。
IMAT(International Medical Admissions Test )はイタリア国立医学部の英語コースに入学するための試験の略称です。イタリア国立医学部のどの大学を受験する場合でも、IMATの受験が必要となります(※ 編入試験を除く)。
IMATは年に1回実施されており、イタリア国立医学部の実質倍率は年々上昇しており、約7倍(IMAT2023のNon-EU枠入試から算出)となっており、難易度が高い試験となっています。
今回は、IMAT(イタリア国立医学部入試)の2021年度から2024年度までの国立医学部の募集定員と合格最低点を受験枠ごとに紹介します。
あわせてIMATの難易度が上昇している3つの理由を解説していますので、イタリア国立医学部の受験を考えている場合はご一読ください。
それでは早速、本題に入ります。
IMATとは?
IMATは、International Medical Admission Testの略であり、イタリア国立医学部の英語コースに入学する際に全員が受験しなければならない試験です。
年に1回、9月ごろに行われ、イタリアもしくは海外会場で対面形式で受験します。海外会場といっても日本で受験することはできず、日本から最も近い会場は香港や北京となっています。
IMATはマークシート方式で全部で60問の筆記試験であり、書類審査や面接試験はありません。試験科目は大きく分けて5科目であり、一般常識(Reading skills and Knowledge acquired during studies)、論理的推論・判断推論(Logical Reasoning & Problem Solving)、生物(Biology)、化学(Chemistry)、物理・数学(Physics & Mathematics)が出題されます。
満点は90点であり、配点は正答を選ぶごとに+1.5点、誤答を選ぶと-0.4点、未解答のままだと0点となる加点・減点方式であり、科目ごとの配点は変わりません。
イタリア国立医学部入試の大きな特徴は、誤答を選ぶと減点される可能性があることでしょう。知識や解法パターンが頭に入っていても、ケアレスミスが多ければ、その分減点されるため、合格が難しくなります。
近年の入試は高得点での争いのため、高得点を確実に狙うための受験戦略も重要となります。
リンク
IMATの受験枠の違い【Non-EU vs. EU】
IMATではNon-EU枠とEU枠の2つの受験枠があり、入試問題や配点は同じものの、それぞれで募集定員や併願できる大学の数が異なります。
Non-EU枠とEU枠への受験は自分で希望の枠が選べるのではなく、国籍や滞在許可証の有無など受験者のバックグラウンドによって異なります。
また、受験する大学によって、EU枠・Non-EU枠に該当する要件も変更になるため、どちらの枠で受験するのかを確認することが必要となります。
誤って別の受験枠で出願すると、合格最低点に達していても入学できませんので、注意してください。
一般的には、次のように分類されます。(※ 大学により詳細な区分は異なります)
- Non-EU枠:EUの市民権又は国籍をもたず、イタリアに1年以上滞在していない受験生
- EU枠:EUの市民権をもつ受験生(Non-EU枠に該当しない受験生)
そのため、日本国籍をもつ受験生で他の国籍をもたない、かつイタリアに長年滞在していない場合(すなわち、ほとんどの日本人受験生)は、Non-EU枠での受験となります。
本記事を執筆している私もイタリア国立医学部(北部)の大学を受験する際に、IMAT(イタリア国立医学部入試)のNon-EU枠を受験し、2位で合格しました。
大学ごとのEU枠・Non-EU枠の受験枠の違いは、別記事で詳しく解説します。
リンク
イタリア国立医学部の募集定員まとめ
2021年度から2024年度までのイタリア医学部英語コースの募集人数をまとめました。
新設の医学部英語コースもあるため、開設前の年度では「ー」と表示しています。
また、一部の大学では中国人留学生のためのマルコポーロ枠が用意されていますが、マルコポーロ枠を含めた募集人数をNon-EU枠とEU枠に分けて記載しました。
各年度の募集定員は、次のとおりです。
EU枠の募集定員【過去4年分】
大学名 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|
University of Milano-Bicocca | 22 | 38 | 30 | 30 |
University of Milano Statale – IMS | 45 | 45 | 55 | 55 |
University of Turin | 70 | 70 | 70 | 70 |
University of Pavia | 103 | 103 | 103 | 103 |
University of Padova | 56 | 51 | 80 | 75 |
University of Parma | 60 | 60 | 75 | 75 |
University of Bologna | 70 | 70 | 97 | 97 |
Marche Polytechnic University | ー | 35 | 25 | 20 |
Sapienza University of Rome | 38 | 38 | 45 | 45 |
Tor Vergata University of Rome | 25 | 25 | 40 | 40 |
University of Messina | 38 | 41 | 55 | 55 |
Federico II University of Naples | 15 | 15 | 15 | 15 |
Vanvitelli University of Campania | 40 | 50 | 60 | 60 |
University of Catania | ー | ー | 60 | 30 |
University of Bari | 42 | 42 | 69 | 69 |
University of Cagliari | ー | ー | ー | 80 |
EU枠では、IMAT2021からIMAT2024にかけて、大学の総定員数は増加しています。この理由としては毎年、英語コースを開設している大学があること、そして多くの大学で定員数を微増させていることが挙げられます。
Non-EU枠の募集定員【過去4年分】
大学名 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|
University of Milano-Bicocca | 13 | 16 | 18 | 18 |
University of Milano Statale – IMS | 25 | 25 | 25 | 15 |
University of Turin | 32※ | 32※ | 32 | 32※ |
University of Pavia | 40 | 40 | 40 | 40※ |
University of Padova | 20 | 25 | 20 | 25 |
University of Parma | 40 | 40 | 45 | 45 |
University of Bologna | 20 | 20 | 20 | 20 |
Marche Polytechnic University | ー | 25 | 55 | 60 |
Sapienza University of Rome | 10 | 10 | 13 | 13 |
Tor Vergata University of Rome | 10 | 10 | 15 | 15 |
University of Messina | 38 | 42 | 56 | 56 |
Federico II University of Naples | 25 | 25 | 25 | 25 |
Vanvitelli University of Campania | 40 | 40 | 50 | 50 |
University of Catania | ー | ー | ー | 30 |
University of Bari | 8 | 11※ | 11 | 11※ |
University of Cagliari | ー | ー | ー | 20 |
注:中国人留学生向けのマルコポーロ枠のある大学は「※」を付けています。
Non-EU枠では、IMAT2021からIMAT2024にかけて、EU枠と同様に大学の総定員数は増加しています。理由もEU枠と同じく、毎年、英語コースを開設している大学があること、多くの大学で定員数を微増させていることが挙げられます。
イタリア国立医学部の合格最低点まとめ
IMAT(イタリア国立医学部入試)は、前述のとおり、国立医学部の英語コースに入学するために受験が必須となっており、受験枠・受験会場によらず、入試問題・入試形式は同じです。
IMATは年度によって各科目の問題数が変更になる場合はありますが、どの年度も問題数は60問、満点は90点となっています。
イタリア国立医学部では募集定員を満たすまで繰り上げ合格がおこなわれるため、特に複数校に出願できるEU枠入試では最終的な合格最低点が正規合格者の合格最低点よりも大幅に下がる場合もあります。
今回は、EU枠では正規合格者の合格最低点と最終的な合格最低点(繰り上げ合格者の合格最低点)を、Non-EU枠では最終的な合格最低点(繰り上げ合格者の合格最低点)を記載しました。
それぞれの受験枠の合格最低点は次のとおりです。
EU枠の合格最低点【過去4年分】
大学名 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|
University of Milano-Bicocca | 51.6 (36.3) | 48.2(42.8) | 46.3 (43.3) | 66.7(-) |
University of Milano Statale – IMS | 51.5 (43.3) | 52.0(44.3) | 47.6 (46.6) | 69.2(67.8) |
University of Turin | 45.6 (35.5) | 45.1 (37.3) | 39.0 (37.4) | 62.4(-) |
University of Pavia | 46.3 (33.5) | 45.8 (36.7) | 39.8 (38.4) | 61.8(-) |
University of Padova | 47.0 (37.5) | 47.1 (37.9) | 41.1 (38.7) | 64.6(-) |
University of Parma | 44.5 (35.0) | 44.4 (34.1) | 37.6 (35.3) | 60.3(-) |
University of Bologna | 48.6 (42.6) | 48.4 (41.5) | 43.9 (42.6) | 65.6(64.8) |
Marche Polytechnic University | ー | 43.7 (32.8) | 37.5 (35.3) | 60.2(-) |
Sapienza University of Rome | 47.6 (40.4) | 48.2 (42.8) | 46.7 (45.4) | 65.5(65.1) |
Tor Vergata University of Rome | 45.2 (37.7) | 46.0 (39.2) | 40.2 (38.5) | 62.0(-) |
University of Messina | 43.0 (33.0) | 42.9 (33.1) | 35.2 (32.8) | 57.6(-) |
Federico II University of Naples | 50.5 (34.4) | 48.1 (37.0) | 45.2 (45.2) | 64.0(61.4) |
Vanvitelli University of Campania | 43.8 (33.3) | 42.9 (34.2) | 37.0 (35.0) | 59.5(-) |
University of Catania | ー | ー | 34.9 (32.4) | 58.4(-) |
University of Bari | 43.3 (33.9) | 43.3 (34.1) | 36.2 (34.1) | 59.1(-) |
University of Cagliari | ー | ー | ー | 56.9(-) |
Non-EU枠の合格最低点【過去4年分】
大学名 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|
University of Milano-Bicocca | 42.3 | 49.2 | 54.2 | 72.6 |
University of Milano Statale – IMS | 51.5 | 51.8 | 60.2 | 75.7 |
University of Turin | 44.0※ | 50.1※ | 49.0 | 70.8※ |
University of Pavia | 49.4 | 43.8 | 53.3 | 71.2 |
University of Padova | 46.6 | 50.7 | 49.5 | 71.6 |
University of Parma | 35.5 | 41.9 | 50.1 | 59.1 |
University of Bologna | 48.9 | 51.5 | 59.1 | 74.5 |
Marche Polytechnic University | ー | 34.5 | 43.0 | 60.3 |
Sapienza University of Rome | 53.1 | 52.6 | 50.8 | 73.4 |
Tor Vergata University of Rome | 47.7 | 44.6 | 53.4 | 60.6 |
University of Messina | 34.6 | 42.9 | 36.9 | 61.4 |
Federico II University of Naples | 41.4 | 44.4 | 52.0 | 68.1 |
Vanvitelli University of Campania | 33.1 | 41.9 | 47.3 | 63.2 |
University of Catania | ー | ー | ー | 57.2 |
University of Bari | 32.7 | 42.6※ | 31.2 | 65.8 |
University of Cagliari | ー | ー | ー | 56.5 |
注:中国人留学生向けのマルコポーロ枠のある大学は「※」を付けています。
IMATの難易度は年々、上昇している
IMATは年度ごとに科目ごとの問題数が異なり、問題の難易度も異なるため、各年度の合格最低点だけをみて難易度を比較することは困難です。
しかし入試データを読み解くと、前述のとおり、大学ごとの募集定員が増加しているにもかかわらず、受験者の実質倍率は増加しており、IMATの入試難易度は年々高まっていると言えるでしょう。
理由はいくつか考えられますが、個人的には下記の3つの理由が主要な要因であると考えています。
それぞれの理由を簡単に紹介します。
※ これは2024年度入試の合格最低点が急騰したことに基づく考察ではなく、IMAT2021から2024年までの4年間の入試データ・入試概要を踏まえたものです。詳細な分析は、mirunote+で解説しています。
1. 受験者層の変化(特にNon-EU枠)
IMATは以前より受験者が増加しており、受験者のレベルも上昇していると考えられます。
特に、Non-EU枠で受験する場合は、英語話者(イギリス、アメリカ、カナダなど)の受験生や、理系科目を得意とする中国・韓国などのアジア圏の受験生と競う必要があり、募集定員も少ない大学が多いため、高得点を取らなければ合格しにくくい状況が続いています。
また、イタリア国立医学部を第1志望にしている受験生も珍しくなく、1浪生や2浪生などが多く見られ、何度もIMATにチャレンジすることも多いため、難易度が上昇しています。
2. 一般常識の問題が大幅に減少
IMAT2023から一般常識の問題が減少したことで、他の科目の問題数が増え、結果的に点差がつきやすくなりました。また、一般常識の問題も近年は以前より易化しており、高得点を取りやすくなっています。
IMATでは一時期、General Knowledge(一般常識)の問題数が大幅に増加しました。
具体的には、2019年度から2021年度まで12問(全問題の20%に相当)、2022年度は10問(全問題の16.7%に相当)であり、2023年度から現在までは3問(全問題の5%に相当)とは大きく異なっています。
一般常識の範囲もヨーロッパに限らず、世界の歴史、著名な作品、国際機関、ノーベル賞、芸術など、幅広い分野が問われ、多くの受験生が一般常識の問題を捨てていた(0点の受験生が多くを占めていた)ため、高得点を狙いにくくなり、一般常識が得意であれば、高確率で合格を狙えました。
また、一般常識が占める割合が多かったため、他の科目の問題数も少なくなり、点差がつきにくく、苦手な科目があっても他の科目で高得点を取れれば、十分合格できました。
しかし現在は、一般常識は問題数が少なく、満点を取ることも難しくないため、他の科目(特に生物・化学)の出来が合否を左右します。そのため、苦手な理系科目がある場合は、合格は極めて難しい状況であり、どの科目も満遍なく得点を取ることが求められます。
3. 思考力を問う問題が減少し、知識を問う問題が増加
IMAT2023から入試問題の作成期間が変更になった影響を受けてか、IMATの入試問題の問われ方が大幅に変更になりました。従来は知識を知った上でそれらの知識をいかに使って問題を解くかが問われていたのに対し、近年は「一問一答形式」の問題が増え、問題の難易度が易化している印象を受けます。
これらの特徴は理系科目に限らず、論理的推論(Logical Reasoning)や 判断推論(Problem Solving) の入試問題でも見られる傾向であり、高得点を取りやすい状況が続いているため、他の受験生に差をつけられないためにも、なるべく多くの問題に解答し、得点する必要があります。
問題単体の難易度は下がっているため、ケアレスミスなどの失点は許されず、苦手分野をなくしてあらゆる典型問題の解法パターンを把握するのはもちろんのこと、すべての入試問題を時間内に解くための時間配分やケアレスミスをなくす方法などの対策も必須でしょう。
以上、3つの理由を主として、IMATの難易度は総じて上がっていると考えています。イタリアの入試は突然の変更もよく見られるため、今後もこの流れが続くかは不明ですが、これからもIMATの難易度が高まる可能性があることは頭の片隅にでも入れておきましょう。
IMATの入試対策をするなら、mirunoteを活用しよう
本記事では、IMATの2021年度から2024年度の受験枠(EU枠・Non-EU枠)ごとの募集定員と合格最低点をまとめて紹介しました。
前述のとおり、IMATの難易度は年々高まっており、特に人気の医学部(ボローニャ大学やミラノ大学など)への合格を目指す場合は高得点を取らなければ、まず合格は難しいでしょう。
とはいえ、現在市販されている教材やオンラインコースなどは英語のものがほとんどで、日本での教育内容・大学入試の範囲と異なる部分も多く、効率的な入試対策は期待できません。
実際、IMATの入試対策に100%自信を持って推奨できる教材が1つもなかったため、IMATに2位で合格した医学生を筆頭にイタリア国立医学部生が共同でIMATに特化したmirunoteオリジナル教材・オンラインコース(日本語)を制作しました。
上位合格者が重要と考える基礎知識や典型問題の解法パターン、入試本番での戦略やオリジナル教材の活用方法など、イタリア国立医学部の合格に必要なコンテンツのみを凝縮しました。IMATのほか、私立イタリア医学部入試にも対応しています。
リンク
また、mirunoteではイタリア国立医学部生とのオンライン家庭教師(マンツーマン指導)をおこなっており、理系知識がない場合でも、勉強に不安がある場合でも、独自のカリキュラムや指導法、オリジナル教材や問題集を用いて、イタリア国立医学部の合格をサポートします。
他にも留学が初めての方に向けた「イタリア医学部留学サポートサポート」では、留学エージェントと同様のサービスを格安でご提供しており、イタリア医学部留学を不安なく、おこなえます。
留学サポートプログラムでは、志望校選びから留学手続きまでをサポートしており、家庭教師サービスを割引でご利用いただくことも可能になりました。
イタリア医学部の留学情報・入試情報は、mirunoteのブログ記事や会員制サイトのmirunote+にて発信しています。
留学エージェントを利用せずとも、mirunoteを活用すれば、格安でイタリア国立医学部に留学できます。イタリア医学部留学の疑問点・不明点はオンライン相談からご相談いただけます。
mirunoteを利用して、効率よくイタリア医学部入試を攻略しましょう。今回は、以上です。