【東欧医学部と徹底比較】イタリア医学部のメリットとデメリット。現役医学生が本音で語ります。

Ciao! イタリア国立医学部生のNobuです。
「どの国の医学部に進学すればいいか分からない…」
「東欧医学部とイタリア医学部の違いが知りたい…」
「イタリア医学部のメリット・デメリットが知りたい…」
上記のお悩みを解決するため、東欧医学部からイタリア医学部に転校した現役医学生がイタリア医学部のメリット・デメリットをまとめました。
本記事の信頼性

この記事を書いている私は、
・東欧医学部
・イタリア国立医学部
のどちらの医学部にも通ったことがあります。
また、留学エージェントと一切関係がないので、嘘偽りなく、デメリットも赤裸々にお伝えできます。
海外医学部への留学を考えている方なら、東欧医学部とイタリア医学部を検討している場合も多いでしょう。
東欧医学部とイタリア医学部のどちらも経験した医学生だからこそ知っている裏事情も詰め込みました。
本記事でわかること
- 東欧医学部とイタリア医学部の比較の重要性
- 東欧医学部と比較したイタリア医学部のメリット11選
- 東欧医学部と比較したイタリア医学部のデメリット8選
- イタリア医学部のデメリットを補う方法
正直に書きすぎて、かなり踏み込んだ内容になってしまったので、あまり多くの人に読まれないことを願います…
前置きが長くなりましたが、早速見ていきましょう。
東欧医学部とは?

日本で「医学部留学」というと、基本的に東欧医学部を指すことが多く、最もメジャーな留学先です。
その中でも、特にハンガリーやチェコの医学部は人気があり、いまや海外医学部留学の定番ですよね。
専門の留学エージェントが大々的に宣伝しており、海外医学部を考えている方なら、一度はこれらの広告を目にしたことがあるのではないでしょうか。
そのため、海外医学部留学を考えた場合、有力な選択肢の1つになることが多いです。
東欧医学部との比較が重要なわけ

イタリア医学部と東欧医学部のメリット・デメリットを比較することが重要な理由は、留学先の選択を間違えると、医学部留学後に後悔することになるからです。
何も調べずに医学部留学した結果、自分には全く合わず、1年も経たずに辞めてしまうケースは多々あります。
入学前にできるだけ色々な国の医学部を比較して、医学部留学で失敗しないようにしましょう。
それでは早速、東欧医学部と比較した際のイタリア医学部のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
イタリア医学部のメリット11選

実体験をもとに、東欧医学部と比較した際のイタリア医学部の代表的なメリットは、下記の11個です。
イタリア医学部のメリット11選
- 国立医学部の場合、学費が安い
- 定期試験を何度でも受けられる
- 定期試験の数が少なめ
- 入試は基本的に筆記試験(マークシート式)のみ
- 高い医療水準をもつ国で臨床実習ができる
- 観光大国のイタリアで学べる
- 奨学金や学費の減額措置が充実している
- 低学年から病院見学・臨床実習などができ、モチベーションアップできる
- 大学独自のカリキュラムが熱い
- ヨーロッパの医師免許を自動付与される
- イタリアで医師として働く場合、かなり有利
今回は、東欧医学部とイタリア医学部という大きな括りで比較しているため、大学によってはここで挙げたメリットがすべて享受できるわけではありません。あらかじめご了承ください。
それでは、それぞれ詳しく解説します。
1. 国立医学部の場合、学費が安い
イタリア国立医学部に関して少し調べたことがある方なら、1度は学費の安さについて耳にした事があるでしょう。
ISEEという年収による学費の減額措置を使用しない場合でも、学費は年間1,500〜5,000ユーロ(約23万円~約75万円)ほどです。
※ 1ユーロ=150円で計算
ISEEによる学費の減額措置をはじめ、政府や大学独自の奨学金を利用する場合は、ほとんどお金をかけずに医学部に留学できます。
基本的にヨーロッパでは、大学教育をさまざまな人が受けられるよう、母国語のコースは学費がかなり安く設定されています。しかし、東欧医学部のように英語コースを開設している大学の多くは、外貨獲得(ユーロ獲得)が目的のため、高額な学費が設定されています。
東欧医学部の中には、1年の学費が10,000ユーロを超えるところもあり、場合によっては、東欧医学部1年分の学費でイタリア医学部を卒業することが可能です。
学費だけでなく総額の留学費用も安い
学費だけでなく生活費などの諸経費してもイタリア国立医学部の安さは際立っています。
【6年間の留学費用】
・東欧医学部(国立大学): 約1000万円〜1500万円
・イタリア国立医学部: 約500万円〜800万円
・イタリア私立医学部: 約2000万円〜4000万円
私の生活水準をもとに計算した留学費用は上記のとおりです。もちろん、人によって生活費などが異なるため、留学費用の総額も異なります。
私の生活水準とは…
2人でアパート(フラット)の部屋をシェアし、基本的に食事は自炊しており、日本には年に1度帰国します。
以前は、東ヨーロッパは物価がかなり安く、生活費・家賃・光熱費を安く抑えることができましたが、戦争などにより大幅な物価高が続き、今では日本と同じかそれ以上になりました。
そのため、費用の面で言えば、イタリア国立医学部以外の選択肢はなくなりました。
イタリア国立医学部の学費や各大学の比較は、下記記事で詳しく解説します。
2. 定期試験を何度でも受けられる
イタリア医学部の中には、大学によって無制限で定期試験を受けられるところがあります。無制限でなくとも、東欧医学部より多くの回数を受けられる場合がほとんどです。
このシステムにより、進級率や卒業率は東欧医学部と比べて、圧倒的に高いです。私は、定期試験に何度でもチャレンジできる医学部をイタリア医学部以外には知らないので、この点だけでもかなりオススメです。
東欧医学部の場合は、1年間で受けられる最大の試験回数は各科目ごとに3回までとなっています(一部の大学では異なります)。
また、たいてい各科目は1年しかリピートできないことが多く、試験は最大5〜6回までしか受けられません。この間に合格しなければ、強制的に退学となります。
他の科目の単位をすべて取っていても、1科目の単位を取得できなければ、今までの努力が水の泡になってしまうのが、海外医学部です。
試験が苦手・合格するかどうかが不安であれば、イタリア医学部は有力な進学先の1つになることでしょう。
何度でも受験できるシステムは学生の将来のため
では、なぜこんなに緩いシステムを導入しているのか。
このシステムは全員を卒業させるためというよりも、学生の将来をより良くするためのシステムです。
イタリアでは就職時に大学での評価が直接的に影響します。大学での成績によって就職先が決まり、結果的に将来をも決めてしまうのです。
イタリアの医学部はどの大学も医学部の6年間の成績を110点満点で評価します。この点数が高ければ高いほど、人気の就職先や希望の就職先で働くことができ、低ければ選択肢はどんどん減っていき、地方やへき地の人気のない病院などで働くことを余儀なくされます。
そのため、イタリア人は定期試験に本気で挑んでいます。毎日朝から晩まで図書館にこもって勉強している医学生がほとんどです。
すでに科目に合格している科目でもさらに高得点を目指して、試験を何度でも受けることは珍しくありません。実際、私の友人は試験で満点が取れるまで、何度も受験しています。
イタリアで働かない留学生には関係ありませんが、何度でも試験を受験できる折角の機会を無駄にせず、合格するまで何度も受験しましょう!
3. 定期試験の数が少ない
イタリア医学部は東欧医学部と違い、テストに追われることは、ほぼありません。大学にもよりますが、定期試験は最終試験(Final Exam)のみという科目が多いです。
東欧医学部では、日本の高校と同じように小テストや中間考査・期末考査のような試験がたくさんあります。そして、最終試験の前にこれらすべての試験に合格しなければ、最終試験の受験資格さえ与えられません。場合によっては、この時点で留年や退学が決まります。
そして、このすべての試験に合格することが本当に大変なのです。前述のとおり、受験できる試験の回数には制限があります。また科目によってはあらかじめ試験の期日が決まっており、先延ばしできない場合も多々あります。
小テストは毎週もしくは全体で60%以上取らないと留年・退学するリスクがあります。さらに追い打ちをかけるように、1ヶ月〜2ヶ月に1回、mid-term test (credit test)があります。この試験も60%以上取るらなければなりません。ただ、試験を受験できるチャンスはたいてい1〜3回しかありません。
ということで、東欧医学部の場合、日々何かしらの試験に追われているので、毎日がものすごくストレスです。「勉強大好き!」「追い込まれないと勉強しない」という人ならば最高の環境ですが、人によっては追い込まれてしまいます。
イタリア医学部の方が勉強が簡単とは言いませんが、精神的にはものすごく楽です。追い込まれるのが苦手な方は、イタリア医学部を強くおすすめします。
4. 入試は基本的に筆記試験(マークシート式)のみ
イタリア医学部の入試は私立・国立を問わず、基本的に筆記試験(マークシート式)のみです。志望動機書などの書類審査や面接などはありません。
筆記試験で高得点を取れれば、合格となります。また、イタリアの医学部入試はEU枠とNon-EU枠で定員が分かれており、多くのイタリア人が受験するEU枠で受験しなくていいのも嬉しいところです。
東欧医学部の中には、面接試験がや志望動機書が必要なところもあり、筆記試験の対策以外にこれらの対策もおこなわなければなりません。
他にも、英語や理科3科目以外の特殊な試験を課している大学や、試験範囲に医学の知識や大学で習う生物・化学・物理のレベルを必要としている大学もあり、受験前に入試科目や試験範囲の確認が必要です。
その点、イタリア医学部はどの大学も試験範囲がほとんど変わらず、試験形式もマークシート式で、日本の高校までの知識+α があれば、十分に合格を狙えます。
ちなみに、イタリア私立医学部の成績優秀者における奨学金のWinnerを決める場合は、面接試験や志望動機書の提出などを考慮して、決定する場合もあります。詳しくは、各大学のホームページにて確認してください。
5. 高い医療水準をもつ国で臨床実習ができる
イタリアは日本と同等の医療水準をもっています。
「当たり前の医療がどれだけ当たり前に受けられるのか」を測った医療レベルを世界的に比較できるデータ、ヘルスケア・クオリティー・インデックス(HAQインデックス)の2019年版では、G7で最も順位が高いのはイタリア、フランス、次いで日本でした。
詳細はこちらでご確認いただけます。
この順位は単に医療水準だけでなく、医療システムの違いなどの国の制度面も影響するため、アメリカなど国民全員が等しく治療を受けられない国は下位になる傾向があります。
そのため、一概には言えませんが、少なくとも東欧の医学部より高い医療水準をもつイタリアで臨床実習をおこなえるのは大きなメリットでしょう。
6. 観光大国のイタリアで学べる
歴史的な遺跡や教会、海に山に綺麗な景色が楽しめるまさに最高の国です。食事もイタリア料理ですから、日本人にも慣れ親しんだ味で美味しいです。
医学の勉強は6年間で、ストレスがかなり溜まります。そのストレスを旅行や食事で発散できるのは、非常に大きなメリットで、長期留学するうえでかなり重要です。
残念ながら、海外医学部に留学する日本人の中には、勉強漬けの生活の末、うつ病になる人もいます。
これはストレスを発散する環境が無いことが大きな要因であると考えています。実際、私が以前いた東欧の医学部は街に遊べるところがクラブくらいしかなく、ストレス発散といえば、お酒かクラブでした。
これらも気分転換になるといえばなるのですが、3ヶ月も経てば、もはや気分転換ではなく、日常の一部になってしまいます。
私がもともといた大学は、イタリアのように日帰りで遊びに行けるような観光スポットがほとんどなかったので、休日も朝から晩まで家にいて、外出しないことすらありました。
結果的に、閉鎖的な環境に四六時中いることになり、塞ぎがちになってしまいます。
その点、イタリアは全くその心配はありません。少し足を延ばせば、ローマやミラノなどの大都市や、ヴェネチア、フィレンツェなどの観光地に行くことができます。美味しいご飯に、美しい景色や街並み。
どの街も魅力的なので、たった1日で気晴らしができます。また、各都市には日本人が作る日本食のお店があることも多いので、美味しい日本食も食べられますよ。
まさに6年間滞在するなら、最高の立地と言えるでしょう。
7. 奨学金や学費の減額措置が充実している
イタリア政府奨学金をはじめ、イタリアの私立医学部などは大学によって上位成績者のための奨学金が用意されています。
またイタリアでは、ISEE(Indicatore della Situazione Economica Equivalente)による学費の減額措置があります。世帯年収や扶養家族の有無等により、学費などがかなり減額される可能性があります。
イタリア国立医学部の場合は東欧の医学部と比べて、学費は学費の減額制度や奨学金を利用しなくとも十分安いですが、場合によってはさらに学費を安く抑えることが可能です。
前述のとおり、東欧医学部の留学にはそれなりの費用がかかります。その点、イタリア国立医学部はISEEや奨学金の利用ができ、さらに費用を抑えることができるため、なるべく安く海外医学部に留学したい人にはオススメです。
8. 低学年から手術室見学などができ、モチベーションアップ。
日本の医学部にもある早期臨床実習。
一部のイタリア医学部にも似たようなものがあり、授業としてカリキュラムに組み込まれている場合と学生団体の活動として学生主体でおこなっている場合があります。
いずれにしろ、1年次から病院見学や手術室の見学ができるのは、かなり嬉しいポイント。
早期の臨床実習・病院見学ができるので、医学生としての自覚を持てるうえ、勉強のモチベーションをアップさせることもできます。
東欧の医学部ではこのような取り組みをあまり聞かないので、勉強のモチベーション保つのが難しい方には、早期の臨床実習・病院見学ができるイタリア医学部をオススメします。
9. 大学独自のカリキュラムが熱い
東欧医学部と違い、イタリア医学部は各大学ごとにカリキュラムに大きな違いがあります。
特に、イタリア国立医学部の英語コースは、大学ごとに様々な特色ある実習や経験を積めるところが多いです。
例えば、ミラノ・ビコッカ大学の医学部英語コースでは、サリー大学(UK)、ベルガモ大学、パパ・ジョバンニ23世病院と提携したプログラムが用意されています。
具体的なカリキュラムの詳細は、各大学のHPでご確認ください。それぞれ魅力的なカリキュラムやプログラムを実施しているので、どこかしらの医学部に興味を惹かれることでしょう。
イタリア国立医学部英語コースのHP
- University of Milano-Bicocca: 医学部HP
- University of Milano Statale - IMS: 医学部HP
- University of Turin: 医学部HP
- University of Pavia: 医学部HP
- University of Padua: 医学部HP
- University of Parma: 医学部HP
- University of Bologna: 医学部HP
- Marche Polytechnic University: 医学部HP
- Sapienza University of Rome: 医学部HP
- Tor Vergata University of Rome: 医学部HP
- University of Messina: 医学部HP
- Federico II University of Naples: 医学部HP
- Vanvitelli University of Campania: 医学部HP
- University of Catani*: 医学部HP
- University of Bari: 医学部HP
イタリア私立医学部も負けてはいません。最先端の大学病院で実習できるなどの魅力的なプログラムを実施しているところもあります。
イタリア私立医学部英語コースのHP
- Humanitas University: 医学部HP
- MEDTEC School (Humanitas University): 医学部HP
- Vita-Salute San Raffaele University: 医学部HP
- Università Cattolica Medicine and Surgery (Rome): 医学部HP
- Università Cattolica Medicine and Surgery (Bolzano): 医学部HP
- Università Campus Bio-Medico di Roma (Medicine & Surgery): 医学部HP
- Università Campus Bio-Medico di Roma (Medicine and Surgery 'MedTech'): 医学部HP
- UNICAMILLUS International Medical University: 医学部HP
イタリア医学部の大学ごとの特徴やオススメのポイントなどの医学部情報の概要は下記記事で解説します。https://note.com/embed/notes/n0e0e2e1422de
10. イタリアで医師として働く場合、かなり有利
イタリアで医師として働きたい場合は、イタリア医学部の留学するのがオススメです。
イタリアでは大学の成績をGPAなどで評価するのではなく、110点満点で点数化します。これは国立・私立問わず全く同じ評価方法を採用しており、この点数をもとに就職先が決まります。
日本と違って、就職時には大学のネームバリューよりも大学の成績で110点中何点取ったのかが、重要視されます。
そのため、イタリア語をネイティブレベルに話せなければなりませんが、イタリア医学部での成績が高得点ならば、私たちでも大都市や人気の科や病院で働けます。
イタリアで医師として働きたい場合は、1年次から真面目に勉強をしましょう。
11. ヨーロッパの医師免許を自動付与される
イタリアでは東欧医学部と違い、卒業時に自動的に医師免許が付与されるため、医師免許取得のための勉強が不要です。
イタリアでは現在、医師国家試験がありません。これは東欧医学部にはないシステムで、私の知る限り、イタリア医学部だけです。
実は、東欧の医学部では6年次が1番大変と言われることがあります。これは、医師免許を取得するための試験を受ける必要があるからです。
医師国家試験に合格しない限り、医師免許を取得できずに働けないため、6年生は朝から晩まで図書館にこもって死ぬ気で勉強しています。
6年生は就職先を探したり、日本でも医師免許を取得する場合には国試対策をしたりと忙しいので、自由時間を確保できるのは、かなりのメリットです。
もちろん、イタリア医学部を卒業するとEUで働ける医師免許を取得できますが、これは東欧医学部も同様なので、今回はメリットに入れていません。
イタリア医学部のデメリット8つとデメリットを補う方法

続いて、東欧医学部と比較したイタリア医学部のデメリットは下記の8つです。
イタリア医学部のデメリット8選
- 入試(IMAT)に合格するのが難しい
- 解剖実習が基本的にない
- 実習が少なく、座学が中心
- 定期試験の形式が口頭試問が多い
- 物価が高く、生活費が高い
- 家探しがとにかく大変
- 日本の医師国家試験を受験/合格できるか、不透明
- 日本人コミュニティがない
忖度なしでデメリットを列挙した結果、8個も出てきました。
しかし、個人的にはどれもそこまで大きなデメリットではないと考えています。少なくとも私は東欧医学部からイタリア国立医学部に転校して満足しています。
デメリットを事前に把握しておくことは、海外医学部の留学先選びの参考にもなると思いますので、包み隠さずお話しします。
それでは、デメリットを補う方法もあわせて、デメリットを1つずつ見ていきましょう。
1. 入試(IMAT)に合格するのが難しい
イタリア医学部入試は私立・国立ともに、東欧医学部の入試と比べて難しい場合が多いです。
学費の安さと世界大学ランキング上位の医学部で学べることからイタリア国立医学部入試(IMAT)の難易度は非常に高いです。
イタリア医学部入試はNon-EU枠とEU枠の2種類があり、各枠ごとに定員が異なります。(試験は同じです)
基本的に日本人の場合はNon-EU枠での受験となるため、イギリスや韓国、中国などのアジア圏、アメリカ、カナダなどの北米の学生と競わなければなりません。
さらに、Non-EU枠の場合は出願できる大学は、1大学のみで年に1度しか受験できません。これがさらにIMATの難易度をあげる要因の1つになっています。
実際のところ、日本人受験生のは半数以上が不合格になっています。このnoteを書いている2024年3月現在、ブログやnoteでイタリア国立医学部を発信している人は私以外、国立医学部に合格していませんでした。
一方、東欧医学部は入学が容易です。
ウクライナやジョージアなどでは、入学試験を課さない医学部もあります。そこまで簡単ではないにしても、国立医学部の併願が可能なことがほとんどなので、合格する可能性が高いです。
✔︎ このデメリットを補う方法
IMATに上位合格したイタリア国立医学部生にご相談ください。オンラインチューター(家庭教師)だけでなく、スケジュール管理、入試対策の教材選びなどのお悩みやご相談を承ります。詳細はmirunoteチューターをご覧ください。
また現在、日本語と英語で学習できるIMAT対策や私立イタリア医学部入試対策のオンラインコースを鋭意製作中です。
過去問分析を含めた過去問解説や各科目の解説・練習問題をはじめ、試験で高得点を取るコツなどを収録予定です。完成まで今しばらくお待ちください。
※オンラインコースは2025年にリリース予定です。
2. 解剖実習が基本的にない
イタリア医学部では宗教上の理由で、献体を使った解剖実習ができません。
東欧医学部では、1年次の解剖学で献体を使った解剖実習があります。また、大学によっては Dissectionといって、医学生たちが献体を使って実際に解剖できるところもあります。
解剖実習は人体の構造に触れて、初めて「医学生としての自覚が生まれる」貴重な体験でした。
また解剖写真や図を表したアトラスだけではイメージしにくい部分も、献体を使うことで具体的に認識・理解できるようになります。
✔︎ このデメリットを補う方法
アトラスだけでなく、解剖学のアプリ・サイトを利用することで、献体に触れるのと同じような立体的なイメージができます。
私のオススメは、Complete Anatomyというアプリです。
立体的なイメージだけでなく、各部位の名称や働きなども表示されるので、理解が深まります。また、骨や血管のみを表示できるなど色々な機能があり、献体で学べる内容と同じだけのものが身につきますよ。
お得な購入方法をはじめ、オススメの使い方などの詳細は、別記事で詳しく解説します。
3. 実習が少なく、座学が中心
東欧医学部に比べて、授業は座学が中心です。そのため、ラボでの実践的な技術を学ぶ機会が少なかったり、理論がメインのため実態を掴みにくいといったデメリットがあります。
医学に限らずどの分野でも、ここまで理論を重視するのはおそらく、イタリアの教育が偉人たちの作り上げてきた理論を継承することに重点を置いているからでしょう。
医学史にはたくさんのイタリア人医師が登場するように、イタリアではかなり昔から医学が発達していました。その積み重ね伝統的な教えを守るために座学メインの授業になっていると推測できます。
しかし、座学だけでは物足りないと思ってしまうのも事実です。Practical(実践形式)の授業では、実際のサンプルに触れることにより、より深い理解を得られます。理論を学んでいるときには気付けなかった点に気付かされたり、本には載っていない知識を獲得できるのも面白いポイントです。
ただ、イタリア医学部の授業は、東欧医学部の授業内容よりも高度で専門的な科目が多いので、決して大きなデメリットはないように感じています。
座学メインの授業は理論を深く勉強できて、幅広い知識を身につけることができるというメリットがあります。
✔︎ デメリットを補う方法
カリキュラムを確認して実習が多めの大学を選ぶのが良いでしょう。
また、より実践的な授業を受けたい場合は、学生の定員数が少ない大学を選ぶのがオススメ。学生の人数が少なければ、その分たくさん実習できる機会がありますよ。
ちなみに、ほとんどの教授は教育熱心なので、メールや面談で個人的な質問や相談に乗ってくれることが多いです。医学部の定員が多いから教育の質が低いということはないので、そこは安心してください。
4. 定期試験の形式が口頭試問が多い
イタリアでは法律によって、一定以上の口頭試問(Oral Exam)を課すことが定められています。
そのため、私立・国立に限らず、イタリア医学部では口頭試問が非常に多いです。大学によっては、ほぼ筆記試験がないところもあります。
ちなみに東欧医学部でも口頭試問はありますが、イタリア医学部ほど多くはありません。
日本人は英語のスピーキングなどを苦手としていたり、そもそも口頭試問を苦手としている人が多いです。なるべく避けたいと思うのも理解できます。
ただ、そこまで恐れなくとも内容をきちんと理解していれば合格できます。暗記ではなく、理解が求められますが、慣れてしまえばそこまで苦痛ではないでしょう。
口頭試問のメリット・デメリット、難易度や対策方法などは別の記事で詳しく解説する予定です。
✔︎ デメリットを補う方法
なるべく筆記試験(Written Test)が多い大学に行くか、イタリア医学部以外を選ぶかです。しかし東欧医学部でも、臨床科目の試験はほぼ口頭試問(Oral Exam)ですから、逃げることはできません。
口頭試問(Oral Exam)は、英語のテストではないので、文法や単語を少しミスしても不合格になることはありません。
口頭試問(Oral Exam)の方が筆記試験(Written Exam)と比べ、理解が深まるだけでなく、人に説明する力が身につくので、医師になった時に役立つ能力が身につきます。
理解が深まるチャンスだと思って、乗り切りましょう。
5. 物価が高く、生活費が高い
イタリアと東ヨーロッパを比較すると、物価は1.5〜2倍近く違います。ウクライナでの戦争後、どちらもかなり値上がりしていますが、依然としてイタリアの物価の方が圧倒的に高いです。
留学費用は、学費と生活費や帰国時の航空券代を含めた総額ですので、物価が高いと生活費が高額になり、留学費用もかなり高くなります。
イタリア国立医学部に入学した場合、学費はかなり抑えられますが、生活費があまりにも高額になると、東欧の医学部に入学する場合とかかる費用が同じになってしまう場合も否定できません。
参考までに、私の生活水準をもとに6年間の総額でかかる費用の一例を紹介します。
私の生活水準とは…
2人でアパート(フラット)の部屋をシェアし、基本的に食事は自炊しており、日本には年に1度帰国します。
【6年間の留学費用】
・東欧医学部(国立大学): 約1000万円〜1500万円
・イタリア国立医学部: 約500万円〜800万円
・イタリア私立医学部: 約2000万円〜4000万円
※ 最近は、急速な円安とヨーロッパにおける物価が相まって、生活費は以前よりかなり上昇しています。そのため、上記の費用よりも高額になる場合があります。
上記のとおり、贅沢をしなければ、かなり安く留学できるので、そこまでのデメリットではないでしょう。
✔︎ デメリットを補う方法
自炊したり、フラットシェアをしたり、ISEEなどの学費減額措置や奨学金を利用したりと留学費用を安くする方法は、たくさんあります。
イタリア国立医学部の場合はもともと学費が安いので、工夫すれば、かなり安く留学できますよ!
6. 家探しがとにかく大変
イタリアで物件を探すのはとにかく大変です。
大学の寮ですら空きがなく、入れないことは多々あります。特に大都市や学生の街にある大学に通う場合は、なおさらです。
イタリアで長期の契約ができる物件が見つからず、1ヶ月ごとに物件を転々としている医学生も1人や2人ではありません。やっと物件が決まっても、選択肢が少ないため、かなり妥協しなければならないこともあります。
東ヨーロッパの場合も好条件の物件は早めに埋まってしまいますが、家探しはイタリアほど難しくありません。
とはいえ、イタリアでも家探しや物件選びにはコツがあり、それを駆使すれば、物件探しはだいぶ楽になりますよ。
※ イタリア在住者が編み出したイタリアでの家探しの方法やオススメの物件選びの仕方などは別記事で解説しています。
✔︎ デメリットを補う方法
イタリアの物件探しは、タイミングとコツで決まります。誰かが退去しない限り、空きが出ないのでタイミングは重要ですが、タイミングは完全に運です。
一方、物件探しのコツは知っているだけでかなり簡単に物件を見つけることが可能になります。イタリアでのオススメの物件探し方法は、別記事で解説しますので、そちらご覧ください。
7. 日本の医師国家試験を受験/合格できるか、不透明(正直、どっちもどっち)
現状、イタリア医学部は卒業生が少ないため、卒業後に日本人のどれだけが日本の医師国家試験を受験・合格できるのかのデータがありません。
一方、ハンガリーなどの東欧医学部は毎年、卒業生が日本の医師国家試験の受験資格を得て、医師国家試験に合格しています。
厚生労働省は、受験資格を国や大学ごとではなく、個人単位で審査しているため、卒業生が受験資格を得ていても有無は関係ありません。
しかし、大学の卒業生がすでに医師国家試験の受験資格を得ていることは、大きな安心材料となります。少なくとも、その医学部が日本の医学部と同等以上の教育レベルをもち、日本の医師国家試験の受験資格を得るための条件をすべて満たしていることが証明された訳です。
イタリア医学部の日本人卒業生が今後増えていけば、大きな不安要素ではなくなりますが、今のところ前例が多くないため、少し心許ないです。
ただ個人的な意見として、イタリアの医学部を卒業した場合は日本の医師国家試験の受験資格を得られると確信しています。
そう確信している主な理由は、イタリア医学部の教育の質やカリキュラムを踏まえても、ハンガリーなどの東欧医学部に遜色なく、同等かそれ以上だと考えているからです。
また、私の知る限り、ほとんどのEU諸国の医学部を卒業した日本人は、医師国家試験の受験資格を得ています。予備試験を受けなければならないのは、中国や東南アジアの医学部を卒業した場合がほとんどです。
もちろんこれは、「今までがそうだった」という事実にすぎません。もしかしたら、来年は違うかもしれませんし、私たちが受験する際には状況が変化していることもあり得ます。
繰り返しますが、厚生労働省は、受験資格を大学ごとに審査しているのではなく個人単位で審査しています。そのため、自分が医師国家試験の受験資格を得られるのかは、実際に提出してみないと分かりません。
イタリア医学部に限らず、東欧医学部卒業した場合でも日本の医師国家試験の受験資格を得られない可能性があることは頭の片隅に置いておきましょう。
✔︎ デメリットを補う方法
特にありません。厚生労働省の該当ページを熟読し、受験資格認定を得られそうな医学部に進学することを強く推奨します。
また、こちらに登録するなどして、できる限りの対策をおこなっておきましょう。
8. 日本人コミュニティがない
イタリア医学部に在籍している日本人医学生は少なく、留学エージェントを使用している人も少ないため、医学生の日本人コミュニティはありません。
日本人同士のつながりができないので、困った時に助けあったり、情報交換したりする機会がなく、人によってはデメリットだと感じるでしょう。
先輩からの過去問や試験の情報などはたしかに貴重ですし、将来的に日本での就職を考えているなら、日本人の先輩や卒業生が多くいる医学部に行けば、それらの情報を集めることは簡単でしょう。
イタリアの場合は、海外医学部でよく起こる日本人同士の人間関係の揉め事などが一切なく、極めて平和なので、人間関係で揉めたくない・煩わしい人間関係が嫌いな方にはオススメです。
✔︎ デメリットを補う方法
イタリア医学部では、日本人と関わらない分、留学生活を思う存分楽しめます。色々な国や地域から来た医学生と過ごす時間はかけがえのないものですし、貴重な経験となるでしょう。
将来的に日本での就職を考えている場合で、日本人から情報収集したい場合は、海外医学部の別の医学部の日本人学生と繋がったり、日本の医学部生と繋がれば良いだけなので、ハードルはそこまで高くありません。
イタリアにいてそれが難しい場合でも、日本で病院見学やセミナーなどに参加することで、日本の医学部生とつながりをもつことは思いのほか、簡単にできますよ。
まとめ: イタリア医学部はオススメです。
ここまで、東欧医学部と比較したイタリア医学部のメリット・デメリットを赤裸々に語ってきました。
私自身は今のところイタリア医学部に満足しています。東欧医学部と比較して、イタリア医学部はメリットが多く、海外医学部の進学先としてかなりオススメです。
イタリア医学部のメリットは下記のとおりです。
イタリア医学部のメリット11選
- 国立医学部の場合、学費が安い
- 定期試験を何度でも受けられる
- 定期試験の数が少なめ
- 入試は基本的に筆記試験(マークシート式)のみ
- 高い医療水準をもつ国で臨床実習ができる
- 観光大国のイタリアで学べる
- 奨学金や学費の減額措置が充実している
- 低学年から病院見学・臨床実習などができ、モチベーションアップできる
- 大学独自のカリキュラムが熱い
- ヨーロッパの医師免許を自動付与される
- イタリアで医師として働く場合、かなり有利
イタリア医学部のデメリットは下記のとおりです。
- 入試(IMAT)に合格するのが難しい
- 解剖実習が基本的にない
- 実習が少なく、座学が中心
- 定期試験の形式が口頭試問が多い
- 物価が高く、生活費が高い
- 家探しがとにかく大変
- 日本の医師国家試験を受験/合格できるか、不透明
- 日本人コミュニティがない
私の予想では、学費の安さや有名大学で学べることがも相まって、これからイタリア国立医学部が東欧の国立医学部に代わって、メジャーな留学先となるでしょう。
実際、毎年イタリア医学部の受験者は増えており、合格者のレベルも格段に上がっています。
日本の医学部入試とは別の難しさがあるので、イタリア医学部を目指すなら、今から入試対策をおこないましょう!
入試対策の不安やお悩み、オンラインチューター(家庭教師)のご依頼を現役のイタリア国立医学部生が承ります。詳しくはmirunoteチューターをご覧ください。枠に限りがありますので、ご希望の方はお早めにご相談ください。


