なぜ、IMAT2024は合格最低点が急激に上昇したのか?【2位合格者が要因を徹底分析】

Ciao! イタリア国立医学部生のNobuです。
本記事で分かること
- IMAT2023とIMAT2024の合格最低点の比較
- IMAT2024の合格最低点が上昇した3つの理由
- 2位合格者がIMAT2024の出題意図を分析・考察
本記事の信頼性

この記事を書いている私は、mirunoteチューターというイタリア医学部・海外医学部入試対策専門の家庭教師サービスを運営しています。私自身、4ヶ月の対策でIMATのNon-EU枠に2位で合格した経験をもとに、イタリア医学部入試対策の情報を発信しています。
IMAT2024の問題を簡単と思うか難しいかは人それぞれかと思いますが、事実としてIMAT2024では合格最低点が前年のIMAT2023の合格最低点と比較して、約20点ほど上昇しました。
※ 大学ごとのIMAT2023とIMAT2024の点数の増減は後述します。詳細はそちらでご確認ください。
そのため、多くのIMAT対策関連のブログやWEBサイトでも「合格最低点が上昇した」と言及されています。
しかし、多くのWEBサイトでは「なぜIMAT2024の合格最低点が上昇したか」までには触れておらず、理由を考察しているものが少なく、仮に考察していても浅い内容で本質的ではないと感じました。
そこで本記事では、IMATの過去問を分析してきたイタリア国立医学生の私が、IMAT2024の合格最低点が上昇した3つの理由と出題意図を分析・考察します。
あわせて、IMAT2025でもIMAT2024と同様の問題が出題されるのか・合格最低点はどうなるのかを簡単に予測しました。
ちなみに詳細な予測は下記記事からどうぞ。
本記事を読めば、IMAT2024の合格最低点が大幅に上昇した理由がわかり、今後のIMAT入試対策・過去問を解く際の参考になることでしょう。
それでは早速、本題に入ります。
IMATの合格最低点が+10〜30点増加した

IMAT2024ではIMAT2023と比較し、どの大学も軒並み合格最低点が+7.2〜34.6点増加しました。
百聞は一見に如かず。まずは、大学別のIMAT2024とIMAT2023の合格最低点の比較表をご覧ください。
EU枠の合格最低点の比較

Non-EU枠の合格最低点の比較

※ EU枠で()で記載しているのは、繰上合格者の合格最低点です。本記事を執筆している2025年1月現在はまだ、IMAT2024のEU枠の最終的な合格最低点(繰り上げ合格者の合格最低点)が出ていない大学もありますので、その場合は「ー」を記入しています。
※ 新設された医学部の場合は合格最低点を表示できないため、「ー」で表しています。
※ Non-EU枠の表に記載の合格最低点は、繰上合格者の合格最低点を含んだものです。ただし、例年ほとんど入学辞退者がいないため、繰上げ合格者の合格最低点と正規合格者の合格最低点が同じことも多いです。
※ トリノ大学(Universe of Turin)のIMAT2024の合格最低点は「マルコポーロ枠(中国人留学生枠)」の合格者も含んでいます。
なぜIMAT2024は合格最低点が大幅に上がったのか?

IMAT2023とIMAT2024では試験形式や科目ごとの問題数、配点、試験時間など、すべてにおいて変更はありません。にも関わらず、IMAT2024の合格最低点が大幅に上がった主な理由は下記の3つであると考えています。
- 問題の多くが一問一答形式になった
- 解答に時間がかかる問題が減った
- 受験者全体のレベルが上がった
それぞれの理由を詳しく解説します。
1. 問題の多くが一問一答形式になった
IMAT2024は理系科目(生物・化学・物理・数学)が60問中の51問(総得点の85%)を占める入試問題ですが、これらの理系科目の多くの問題が基礎を問う一問一答形式でした。
捻りのある一問一答形式ならまだしも、出題された理系科目の問題のほとんどが教科書の練習問題レベルであり、特段の何の捻りもない基礎問題だったため、基礎ができている受験生は満点近い点数を取れました。
特に、生物の点数は受験者全体の平均得点が34.5点中23.89点と高得点であり、合格者の多くが生物で満点もしくは90%以上の点数を取っていました。
※ 他の理系科目の受験者全体の平均得点は、化学が22.5点中6.73点、数学・物理が19.5点中6.70点です。
一問一答形式でかつ平易な内容であったため、受験生が多く正答でき、合格最低点が上昇したと考えられます。
2. 解答に時間がかかる問題が減った
これは前述の理由1に関係するところですが、問題形式が一問一答形式になったことで、解答にかかる時間を大幅に短縮でき、多くの受験生がすべての問題を解くことが可能になったことも点数が上がった要因でしょう。
IMATは60問100分の入試であるため、マークする時間も含めて、単純計算で1問あたり1分40秒で解かなければ、すべての問題を解ききることはできません。
従来はすべての条件を検討しないと答えを導けないもの、問題の内容を把握するのに時間がかかる問題や英文を正確に理解しないと解けない問題などがあり、時間配分を間違えると、完答できないことも多くありました。
しかし、IMAT2024では理系科目に限らず、時間がかかることから避けられがちな Logical Reasoning(論理的推論)において、IMAT2011からIMAT2023まで毎年出題されていた形式の問題がなくなり、一瞬で解答を導き出せる問題へと変更になりました。
これらの要因により、解答に時間のかかる問題が減ったことで、多くの受験生が従来より多くの問題を解け、受験生全体の点数が上昇したと考えられます。
3. 受験者全体のレベルが上がった
IMAT2024の入試問題とは関係ない話ですが、受験者層のレベルが上昇していることも、IMATの合格最低点が上昇している一因であると考えています。
IMATが始まった頃はあまり知られていませんでしたが、最近では日本だけでなく世界中でイタリア医学部専門の学習塾や留学エージェントが乱立し、イタリア国立医学部英語コースを本気で目指す受験生が増加しています。
彼ら/彼女らは自国の医学部を断念して、IMATを目指すことがほとんどであり、元々医学部受験の勉強をしていたことがある人(特にNon-EU枠の受験生でアジア圏出身者)も多く、以前よりハイレベルな争いになっていると言っても良いのではないでしょうか。
また、IMAT対策用のオンラインコースや準備コースを様々な人や企業が販売しており、これらを利用して勉強する受験生が増えてきたことも1つの要因でしょう。
IMAT2024 の難易度を考察

結論から申し上げれば、IMATの難易度自体は総じて「易化」したと言ってよいでしょう。問題そのものの難易度が大幅に下がったと言えます。
本記事を執筆する前に主要なIMAT関連の記事を執筆しているサイト・ブログに目を通しましたが、どの記事でも「易化」「やや易化」という評価を下していました。
当たり前のことのように思えますが、日本で教育を受けた私と、それ以外の国で教育を受けた人が易化したと判断しているという事例は実は珍しいのです。
受けてきた教育が違えば、難易度の感じ方は変わるものですが、どの国の人も「平易になった」と言える試験は、問題自体の難易度が下がったことを示しています。
これはIMAT2023とIMAT2024を比較した入試データを見ても明らかです。ちなみにIMAT2023とIMAT2024で試験形式や科目ごとの問題数に変更はありません。
- IMAT2023 IMAT2024 受験者数 10,254名 10,931名
- 募集定員(EU枠/Non-EU枠) 879名/425名 919名/475名
- 90点満点中60点以上の合格者数 165名 1,721名
- 90点満点中70点以上の合格者数 19名 566名
- 90点満点中80点以上の合格者数 1名 39名
受験者数そのものが増加しているものの、60点以上を取得している学生は1500名以上増加しており、「易化」したと言えます。
IMAT2024の科目ごとの入試分析・難易度の分析など、詳細な分析は別記事で解説します。
IMAT2024の出題意図を分析・考察する

ここからはIMATの出題者は「どういう意図をもって、本問を出題したのか」について考えます。
合格最低点を上げる意図があったのかは定かではありませんが、IMAT2024での出題意図を予測するならば、次のような出題意図が考えられるでしょう。
- 将来のために実験している
- 基礎知識のある受験生がほしい
- 試験の公平性を保ちたい
- 問題作成者の問題作成能力が低い
- イタリア語の医学部入試を意識 or 作成者が同じ
どれも深く突き詰めていくと出題意図としては弱い気がしますが、「そういう可能性もあるのか」ぐらいに考えていただければと思います。
あわせてIMAT2024の出題意図からIMAT2025での問題がどのようになるかも予測しました。
これらは完全に私の主観であり、直接、出題者に尋ねたわけではありませんので、参考程度にお考えください。
1. 将来のために実験している
1番考えられる可能性として、まだIMATの入試問題は「実験段階」であり、IMATの問題の方向性が定まっていないのではないかというものです。
IMAT2024は出題者がCambridge Assessment Admissions Testingからイタリア政府機関に変わってからまだ2年目の入試であり、どのように運用していくべきかを悩んでいる状況ではないかと考えられます。
今後、これまでの入試の出来などを踏まえて、難易度を調整する可能性は十分にあります。
IMAT2025では、入試問題の出題機関が変更になって3年目となるため、そろそろ出題傾向が固まるものと予想されます。しかし、IMAT2024がまだ実験であったなら、IMAT2025では問題の傾向・難易度が大きく変わる可能性は否定できません。
2. 基礎知識のある受験生がほしい
IMAT2024では、従来のIMATの方針(IMAT2023以前の方針)を変えて、合格させたい層に変化があったとも考えられます。
そもそも論とはなりますが、私は「なぜイタリア医学部が英語コースを開設しているのか」「Non-EU枠とEU枠に振り分けているのか」という(公表されている建前ではなく)本来の意義を理解していません。
ゆえに「IMATで合格させたい受験生がどういう人物なのか」も不明ですが、「明らかに問題の趣向が変わった(一問一答形式の問題が増加した)」と言えます。
従来のIMAT(特に2022以前)では理系科目だけでなく、Logical Reasoning(論理的推論)やGeneral Knowledge(一般常識)なども20問以上は出題されており、色々な科目の知識や教養がある人物を取りたいと考えていたのではないかと個人的には思っています。
対して、問題作成機関がCambridge Assessment Admissions Testingからイタリア政府機関に変わった2023年入試からは「基礎を問う一問一答」が明らかに増えており、捻りがない問題も増加傾向であることから、「基礎のある受験生がほしい」と読み取れなくもないです。(私は出題者が特に何も考えていないのはないかと疑っています)
たしかに医学部での勉強は基礎の積み重ねであり、基礎を理解していなければ、後々の勉強で躓くことになります。仮に問題作成者が意図して基礎を問う一問一答問題を多数出題しているのであれば、IMAT2025以降もこれらの問題は引き続き出題されるでしょう。
3. 試験の公平性を保ちたい
IMATは世界中さまざまな国から受験者がおり、教育先進国でないからの受験者もいます。受験者の家庭の事情も様々であり、教育に十分なお金をかけられない受験者もいるかもしれません。
彼らは利用する教材(教科書・YouTubeなど)はあったとしても、独学で勉強せざるをえず、基礎知識を身につけることはできたとしても、誰かに習わなければ、それを応用する力や思考力、典型問題の解法パターンを勉強するのは困難でしょう。
教育格差をなくすためにあえて勉強した人が点数をとりやすい「一問一答」での出題を選んでいる可能性もないわけではありません。
4. 問題作成者の問題作成能力が低い
出題意図とはズレますが、考えられる可能性の1つです。もちろん、悪口ではありません。
私自身がイタリア医学部入試対策用のオリジナル問題集や模試を作成している身から言わせてもらうと、以前のIMATの問題は非常に作りにくく、制作するためには多くの時間がかかります。
問題が少し複雑であることはもちろんですが、一問一答形式ではない問題、例えば、設問の条件の正誤を問う問題では問題数以上に条件を用意しなければなりませんし、私のように過去問を分析する人が有利にならないために、問題の出題傾向を毎年なるべく被らせない問題を作成するのは、非常に困難といえます。
一方、一問一答問題であれば、かかる時間も費用も圧倒的に節約できます。今の時代、ChatGPTでさえ、必要な情報や教材をアップロードすれば、ある程度の難易度の一問一答を作ることは誰にでもできます。検証も簡単で、毎年問題を被らせずに出題することが可能です。
問題制作者がChatGPTを使ったとは思いませんが、入試問題を作成する能力が低い、もしくは作成までの時間が限られている場合は、「一問一答形式」の問題を作成するしかありません。
出題者は毎年変わる場合があるので、IMAT2025以降の出題形式はわかりませんが、今後もこの流れが続く場合があります。
5. イタリア語の医学部入試を意識 or 作成者が同じ
イタリア医学部では医学部英語コースのほかに、イタリア語コースも当然あります(むしろイタリア語のコースがメインです)。イタリア語コースの医学部入試はIMATではなく、TOLC-MEDと呼ばれ、試験形式・科目ごとの問題数もIMATとは大きく異なります。
しかし、IMAT2024での出題傾向と設問の問い方は、イタリア語コースの医学部入試に近しいものであり、イタリア語の医学部入試対策をしていたイタリア人の受験生には極めて有利な試験であったと予想されます。
理由は定かではありませんが、出題者がイタリア語コースの医学部入試を意識 or 作成者が同じだった可能性は十分に考えられます。
ちなみに、イタリア語コースの医学部入試は試験形式が大幅に変更され、IMATとは別物の試験となるため、今後の出題にはあまり関係ないと考えて良いでしょう。
※ 万一、IMATの問題作成者チームがTOLC-MEDと同じ場合は、今後もIMAT2024と同じような問題が出題される可能性は否定できません。
IMAT2025はこの流れを引き継ぐのか

本記事の読者の中には、「IMAT2024の流れがIMAT2025でも続くのか?IMAT2024と同じく合格最低点は高いままなのか?」という疑問を持っている方も少なからずいるでしょう。
私の予測を申し上げると、「IMAT2025ではIMAT2024の傾向を引き継ぐ可能性は高いが、合格最低点を下げる仕組みを取り入れるのではないか」と考えています。
IMAT2024では従来の入試問題の傾向とは大きく変わりましたが、出題者がこれを良しとするのか(もしくは合格最低点の上昇を狙ったのか)、あるいはマズイと思って元に戻すかは正直分かりません。
とはいえ、合格最低点が高すぎると、合格最低点の近辺に多くの受験生が固まることになり、「合格最低点と同点であったにも関わらず、不合格になった」という事例が多発することは避けると考えられます。
※ IMATでは大学ごとに定められた募集人数しか合格できないため、例え合格最低点を取った受験生が複数いても全員が合格するとは限りません。
詳しいIMAT2025の動向と難易度は、「IMAT2025の動向は?難易度は?2位合格者が徹底予測」という記事で解説しているので、そちらをご参照ください。
IMAT2024だけをみてIMATを知った気になるのはあまりにも危険です

今回は、「なぜ、IMAT2024は合格最低点が急激に上昇したのか?」について私個人の意見を述べ、IMAT2024の出題意図に関して考察しました。
本記事を購入していただいた方に知っていただきたいのは、下記の3点です。
- IMAT2024はイレギュラーな入試だった
- IMAT2024は問題自体の難易度が低下したことに起因して合格最低点が大幅に高くなった(特に生物)
- IMAT2024の出題意図は不明ながらも、今後もこの流れを踏襲する可能性は否定できない(逆に従来の傾向に戻す、もしくは新傾向を試す可能性あり)
IMAT2024がたまたま平易な入試だったのか、これからも平易なままかは分かりませんが、入試問題そのものが簡単であるということは、裏を返せば、どの問題も解けて当たり前であり、確実に高得点での争いになります。
そのため、IMATに合格するためには、各科目を満遍なく基礎から対策し、苦手分野をなくしたうえで、ケアレスミスなどを徹底的に減らすことが重要です。
とはいえ、1人で全科目を満遍なく基礎から網羅してIMAT対策をするのは非常に難しく、IMAT本番までに間に合わないケースも多いです。
そういうもったいないミスをなくして、IMAT対策に集中するなら、mirunoteチューターのオンライン家庭教師をオススメします。
mirunoteチューターでは、IMAT2位合格者の現役イタリア国立医学生が代表を務める家庭教師サービスであり、基礎知識・典型問題の解法パターンの習得と初見問題を解ききる応用力を身に付けることに焦点を当て、イタリア国立医学部入試対策をサポートします。
オンライン家庭教師のお申し込みはこちら。
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IMAT2025の動向や難易度、IMAT2位合格者オススメの各科目のIMAT対策は、下記記事で紹介しています。あわせてご確認ください。
今回は、以上です。


