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イタリアで留学生が合法的に滞在するために必要な「滞在許可証(Permesso di soggiorno)」。滞在許可証を申請したあと、指定された日時にQuestra(警察署)に赴き、指紋採取をおこないます。しかし、場合によっては、招集日に警察署へ出頭できないこともあるでしょう。
そこで本記事では、招集日に警察署に行けないときの対処法を実体験をもとに解説します。あわせて滞在許可証の申請時に一時帰国する方法も紹介します。
滞在許可証の招集日に出頭できなくて悩んでいる、滞在許可証の申請中に日本に帰国したい場合などは、本記事を最後まで読んで、悩みが少しでも解消すれば嬉しいです。
それでは、本題に入ります。
【前提】招集日は自動的に決定され、原則、出頭しなければならない
イタリアで滞在許可証を取得するために必要なQuestra(警察署)での指紋採取の招集日は、KITの提出日に郵便局で自動的に決定されます。
指紋採取日は平日で、大学の授業と被っていことが多いと思いますが、その授業に行かないと単位を落とすぐらいでなければ、原則、指定された日に行きましょう。予約を取り直す方がよほど面倒くさいですし、滞在許可証の取得時期もどんどん遅れていきます。
しかし、場合によってはどうしても招集日に行けない場合も出てくるでしょう。具体的には、日本に一時帰国している、休めない授業がある、体調が悪い…など。そういう場合は、これから紹介する方法などで、再予約を取りましょう(イタリア語がある程度話せないと、辛い場合も…)。
招集日に警察署に出頭できない場合はどうすべきか?
ある年の滞在許可証取得の招集日が12月29日だったことがありました。
大学はクリスマスから年始にかけて休暇になるので、私は一時帰国することが多いです。年末なんだからそんなに仕事を頑張らなくてもいいのに、と個人的には思うのですが、仕方がありません。
とりあえず、Questra(警察署)に事情を説明しに行きました。ちなみに、予約なしでQuestra(警察署)にいく場合は予め決められた日(私の街では、毎週火曜日か木曜日の午前中)に先着順で列に並ばなければなりません。整理券をもらい、ただひたすら待機します。
朝7時くらいから並んでいる人もいて,朝8時に行っても1時間ほど待ちます。他の街はが同じシステムなのかは分かりませんが、寒い日だと凍りそうになるので、やはりなるべく変更しないに越したことはありません。
事前に予約変更できない場合は、招集日を過ぎてから警察署へ。
結論から言うと、「事前の変更はできない。都合が悪ければ、招集日が過ぎてから来て。」と言うことでした。ネット上には、「招集日に来ることができない理由を正当化する書類を書いて、帰国した便の航空券などを見せれば、再度予約できる」という話だったのですが、街や警察署によって対応が異なるようです。
ちなみにヴェネツィアの場合は15営業日前までに電話かメーで相談するとのことでした。各地域の移民局の情報は、“Cambiare data appuntamento permesso di soggiorno + 居住地”で検索してみると、招集日に出頭できない場合の対応が書かれている場合があります(私の街にようによく分からない場合もあります…そういう場合は直接聞きに行きましょう)。
私は招集日を過ぎてから2週間後くらいにイタリアへ戻ってきたので、その足で警察署に再び向かいました。郵便局でKIT提出時に受け取った3点セットとパスポート原本をもって、警察署の窓口で招集日に来られなかった旨を伝えると、パスポートによる本人確認をおこない、渡される書類に署名して、携帯電話番号を書くという流れでした。
ここに書いた電話番号宛にSMSで次に招集日を連絡するとのことで、実際に後日SMSで招集日のお知らせが届きました。
招集日のお知らせ(書類)が送られてくる
警察署に予約の変更を依頼してから約2週間後に、警察署から新しいアポイントメントの日時と当日の持ち物が記載された書類が届きました。後述しますが、この新しい招集日が記載された書類はアポイントメント当日に回収されますので、必ず招集日に持っていくようにしましょう。
ちなみにこれを逃してしまうと、滞在許可証を取得できなくなるという恐ろしい情報が書かれていました。授業を休んででも、他に何か大事な予定があっても、必ずこちらを優先させましょう。
最初の招集日の予約が12月でしたが、2回目(再招集)の招集日は4月でした。学生としてのステータスを維持するためには、遅くとも夏までには滞在許可証の原本が必要なのですが、ギリギリ間に合ったという感じです。招集日をうまく調整することはほぼできませんが、なるべく招集日変更されないことをオススメします。
ちなみに、改めて招集日に行く場合の手続きは普段と変わりません。特に何も言われずに無事に滞在許可証を取得できました。Questra(警察署)での指紋採取の流れなどは、下記記事で解説しています。
滞在許可証の更新中に日本に帰国はできる?
国立医学部の場合は他の学部より、1ヶ月〜2ヶ月ほど学期が始まるのが遅いため、滞在許可証の期限も他の学部より遅く設定されており、ギリギリまで日本で休暇を楽しんでいる場合は、滞在許可証の申請が9月末〜10月末になる場合も多いかと思います。
その場合、年末にはまだ長期滞在許可証を取得できていない(かつ、保有している滞在許可証が有効期限切れになっている)場合が多いかと思いますが、クリスマスや年末年始を日本で過ごしたい方もいるでしょう。
結論から言うと、日本には帰国できています。今のところ、毎年帰国できていますが、正直あまりオススメはできません。日本(もしくはイタリア)で現在の状況を説明できるなら、良いと思いますが…
基本的に、滞在許可証の申請中はイタリア国外への出国は認められていません。理由は簡単で、イタリアでは滞在許可証の代わりになる郵便局でもらえる3点セットは、他国(EU加盟国も含む)ではただの紙切れだからです。そのため、入国審査のないシェンゲン圏内の国の旅行なども同様にオススメできません。
ただし、母国への直行便での往復、もしくはシェンゲン圏外でトランジットする便(イタリアで入国審査できる便)ならば、可能なようです(※ 私は一時帰国できていますし、他のイタリア在住の方も帰国できていますが、100%保証できるわけではありません)。
【参考】シェンゲン加盟国(2024年10月現在)
オーストリア、ベルギー、クロアチア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、ルーマニア、ブルガリア
私は特に問題が起こったことはありませんが、一時帰国される場合は自己責任でお願いします。
直行便で利用できる航空会社は2024年10月現在、次のとおりです。
- ITA Airways(羽田ーローマ)
- (ANA(羽田ーミラノ):2024年12月新規開設)
利用できる航空会社が少ないため、経由便を利用する場合もあるでしょう。前述のとおり、経由する際はシェンゲン圏外を経由するかを必ず確認しましょう。航空会社ではなく、経由地が超重要です。
ヨーロッパを経由する場合:
- ブリティッシュ・エアウェイズ(イギリス、経由地:ロンドン)
→ ヨーロッパで唯一乗り換えしたい場合の最有力候補はEUを脱退したイギリスでしょう。
中東を経由する場合:
- エミレーツ航空(UAE、経由地:ドバイ)
- エティハド航空(UAE、経由地:アブダビ)
- ターキッシュ エアラインズ(イスタンブール、経由地:トルコ)
- カタール航空(カタール、経由地:ドーハ)
→ 私は日本に帰国する際は、カタール航空を利用しています。学生特典が豊富で、オススメです。
東アジア・東南アジアを経由する場合:
- 大韓航空(韓国、経由地:ソウル)
- キャセイパシフィック航空(香港、経由地:香港)
- シンガポール航空(シンガポール、経由地:シンガポール)
- 中国国際航空(中国、経由地:北京)
→ 時期にもよりますが、日本とイタリアの航空券の最安値は、中国国際航空(Air China)が多いです。
どの航空会社を選んだ場合も、シェンゲン圏外で経由することが可能です。
招集日に行けない場合は、Questra(警察署)に相談しに行こう
日本に帰国するため、招集日に行けない場合などは、次前に分かっていることがほとんどかと思います。居住地のQuestra(警察署)によって、対応が異なる場合があるため、事前に出頭できないことが分かっている場合はまず、警察署に相談しにいきましょう。
担当者によって言うことが違う場合もありますが、自分で考えたり、ネット上で調べるよりはマシでしょう。「事前に招集日を変更できるのか」「事前に変更できない場合はいつ変更したら良いのか」「そのときに必要な書類はあるのか」など、細かく聞いておきましょう。
アポイントメントの日を前倒してくれた例もあるようなので、ダメ元で確認してみるのもオススメです。私は際予約から4ヶ月で済みましたが、大都市では半年ほどかかったという話も聞きます。
繰り返しになりますが、できる限り、予約変更をせずに招集日に警察署へ出頭しましょう。